社会のモデル解析セミナー第3回目(4月21日)

中丸研究室主催、不定期セミナー「社会のモデル解析セミナー」第3回目を開催いたします。
参加は自由です。


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不定期セミナー「社会のモデル解析セミナー」第3回目

【日にち】2009年4月21日 火曜日

【時間】10時40分-12時前

【場所】911

【講演者】瀬川悦生(東工大産学官連携研究員、中丸研所属)

【タイトル】ランダムウォークから量子ウォークへのクロスオーバ

【要旨】
ランダムウォークやブラウン運動が様々な分野での現象を記述し, さらには探索アルゴリズムにおいて重要な役割を担っているように, 2000年辺りから盛んに研究がされている, 量子ウォークはその量子版として, その効力が期待されている. 特に, 量子ウォークは将来実現される量子コンピュータ内での量子探索アルゴリズムにおいて,最先端の位置づけになりつつある. さらに, 強相関電子系の電子のエネルギー順位に関する問題Landau-Zener遷移が, 半直線上の量子ウォークに置き換えることによって,解かれた. また, 最近では光合成のクロロフィル間上のエネルギー移送効率をあるネットワーク上の連続時間量子ウォークモデルに置き換えることにより計算され, 実験でよく知られていた結果と一致することが示された. 量子ウォークとランダムウォークの挙動の違いを特徴付ける上で, 時刻に関する弱収束のスケーリングのオーダーと, 局在化と呼ばれる性質は, 非常に重要な要因になる.実際, 一次元格子上において, ランダムウォークでは分散のオーダーが時間に比例するのに対して, 量子ウォークでは時間の2乗に比例する. また, 量子ウォークでは原点付近に高い確率で粒子が見つかる局在化が得られる場合がある. これらのことは量子ウォークがランダムウォークよりも遠くへ拡散しやすく, かつ局在化により安定して粒子が目的の頂点を見つけだせることを示しており, 量子ウォークが, ランダムウォークに比べて遥かに探索に適していることを示唆している. この発表では特に上述の量子ウォークとランダムウォークの違いをはっきり記述するのに有効な, 分布に関する弱収束定理に関する厳密な結果に関して述べる.

ダーウインセミナー(4月27日)

ダーウインセミナーの案内です。ふるってご参加ください。
なお、特別演習のポイント対象にしています。
(文責:中丸麻由子)

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ダーウィンセミナー第8回を4/27(月)に田町で開催致します。
http://bio-math10.biology.kyushu-u.ac.jp/~ohtsuki/darwin.html

今回のダーウィンセミナーは「進化」をテーマに、
 総研大の水野さんに、植物プランクトンの栄養塩利用の進化について、
 東大の馬場さんには、アシナガグモの鋏角長の軍拡競争的共進化について、
 東工大の中丸さんに、環境撹乱下での拡散戦略の進化について
それぞれお話を頂く、盛りだくさんの内容です。

皆様のご参加をお待ちしております。

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ダーウィンセミナー 第8回

日時:平成21年4月27日(月)15:00―18:00

場所:東京工業大学 田町キャンパス(附属科学技術高等学校)
   キャンパスイノベーションセンター 8階806号室
(交通案内:http://www.titech.ac.jp/about/campus/t.html
      JR田町駅芝浦口より徒歩2分)

【発表1】

15:00-15:40  

発表者:水野晃子氏(総合研究大学院大学・葉山高等研究センター)

タイトル:植物プランクトンの栄養塩利用に関する形質の進化

概要:
Ecological Stoichiometryとは?
 生物の体は、有機物の基本要素であるC,H,Oだけでなく、リン、窒素、鉄、ケイ素などさまざまな元素で構成されています。ここでは、H,Oを除く元素を栄養塩と呼ぶことにします。その、それぞれの元素が、過剰に体内に存在したり、不足している場合には、生物はさまざまな『不調』をきたします。つまり、生物の体はそれぞれの元素がある一定の比で存在することが重要であり、この重要性を生態学的プロセス(たとえば個体群サイズの変化や競争、捕食など)のなかで考慮する研究を、Ecological Stoichiometryと言います。

植物プランクトンのEcological Stoichiometryとその進化
 私は、そのEcological Stoichiometryの研究を、進化プロセスに対しても拡張するような研究を行っています。例えば、体内の栄養塩比がどのように進化するのか?また、その結果として個体群動態がどう変化するのか?などを調べています。その中で、特に着目している生物は植物プランクトンです。植物プランクトンに着目した理由は、1)水系生態系の代表的な生産者であるので、植物プランクトンの性質はその上位栄養段階の生物に大きく影響する。さらに、その結果として生態系全体に影響を及ぼす。2)世代時間が短いので、検証実験が出来る可能性がある。3)体内に存在する元素比を実際に測定すると、種間で非常に大きなばらつきがある、などがあります。

研究テーマについて
 私の研究では、特に植物プランクトンの栄養塩利用形質のなかでも主に二つに着目しています。ひとつは、細胞分裂をするために、最低限どのくらいの栄養塩を必要とするのか?もうひとつは、細胞内にどのくらいの速さで栄養塩を取り込むことが出来るか?という形質です。この二つは、以前から、植物プランクトンの競争関係を決める重要な形質であることが分かっています。
 今回のセミナーでは、これらの植物プランクトンの栄養塩利用形質の進化が、捕食者の存在によってどのような影響を受けるのか?という研究と、植物プランクトン-動物プランクトンの捕食-被食系のダイナミクスにどのような影響を与えるのか?という研究の二つについてお話したいと思います。

【発表2】

16:00-16:40

発表者:馬場友希氏(東京大学・農学生命科学研究科)

タイトル:オスの死を伴う性的対立:アシナガグモ属の鋏角長にみられる雌雄間の軍拡競争

概要:
 一般的に、 オスは多くのメスと交接することで適応度を高めるのに対し、 メスは複数回の交接によって様々なコストを負うことが知られている。 この利害の不一致が強い状況下では、 オスでは交接を確実にする形質が進化するのに対し、 メスでは交接のコストを軽減するような形質が進化する可能性がある。 演者は、 この性的対立による拮抗的共進化の例としてアシナガグモ属の鋏角に注目した。 アシナガグモ属では鋏角長に著しい種間変異の存在が知られているが、 鋏角を用いた雄間闘争が観察されること、 交接時に雌雄が互いの鋏角を噛み合わせて固定するという独特な交接前行動を示すことから、 この変異には交配に関わる複数の選択圧が関与していると推測される。 特筆すべき点は、 オスだけでなくメスにも著しい鋏角長の種間変異が存在することである。 これは単純に雄間闘争だけでは説明できず、 鋏角に性的対立に関わる機能を仮定することで説明できると考えられる。 すなわち大きな鋏角を持つことで交接の主導権を握れるのであれば、 性的対立が強い状況下では雌雄共に大きな鋏角が進化しうるという可能性である。 本研究では、 これらを検討するため まず室内での交配実験により交接における鋏角の役割を評価した。 次に鋏角長の多様化プロセスを推測するため、 鋏角長の種間変異を明らかにし、 分子系統樹に基づく祖先形質の復元を行なった。 これらの結果をもとに本システムの独自性、 および今後の発展性について議論する。

【発表3】

17:00-17:40

発表者:中丸麻由子氏(東京工業大学・社会理工学研究科)

タイトル:環境撹乱下での、アリのコロニー分割比と拡散距離のトレードオフについて

概要:
 拡散戦略の進化は生態学の重要な研究トピックである。親の近くに子孫を産む場合や同じ場所に生息し続けると、親子間の競争、近親交配、過密化が生じたり、環境撹乱によって近縁個体がまとめて死滅してしまう。これらのリスク回避のために、長距離拡散戦略が進化したという。しかし、アシナガキアリ、ツヤオオズアリやある種の珊瑚など、コロニーを単位とする定着型生物では、環境撹乱があっても長距離拡散を行わない。では、環境撹乱下で長距離拡散が進化しなくても生存できる条件は何であろうか。本研究では、環境撹乱下での、コロニー成長、コロニーサイズ依存死亡率、コロニー分割後の拡散距離のトレードオフに着目し、格子モデル上でコロニーサイズ推移行列モデルを構築し、その条件を探った。

 モデルの仮定は以下の通りである。格子上にコロニーが分布している。コロニーはあるサイズに成長すると2分割して、一方を空格子点へ拡散させる。分割比と拡散距離のトレードオフに着目するために、次の2戦略の空間を巡る競争モデルとした。コロニーを1:1に分割して、一方のコロニーを近くの空き格子点へ拡散する戦略(S戦略)と、コロニーを大:小に分割して、小さな方をランダムに拡散させる戦略(L戦略)である。例えば、分巣するアリは S戦略に相当し、女王アリが単独で遠くへ飛行する場合は L戦略に当たる。環境撹乱については、撹乱頻度に加え、撹乱の空間規模も考慮し、規模が大きいほど環境撹乱によって格子上の広範囲にわたってコロニーが消滅するとした。

 すると、推移行列モデルの数理解析やシミュレーション解析によって、環境撹乱下で短距離拡散タイプが進化するためには、(1)環境撹乱頻度は高いが、環境撹乱規模は小さく、(2)サイズの小さいコロニーの死亡率が非常に高い、という2条件が必要であることを示した。

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このセミナーシリーズは、生物学を軸として進化、生態、行動、保全、疫学、ゲーム等の幅広い分野で首都圏の研究交流を図ることを目的とし、月一回のペースで、前半の講演と後半の進捗発表の二本立てで開催します。場所は東工大田町キャンパスと総研大葉山高等研究センターの交互開催を予定しています。

後半の進捗発表は、進展途上の研究やアイディアを発表して参加者と議論し、今後の研究に役立てる交流の場です。未完成の話題を大いに歓迎します。

5月以降の進捗発表者を募集しておりますので、セミナー世話係までご連絡ください。

ダーウィンセミナーホームページ
http://bio-math10.biology.kyushu-u.ac.jp/~ohtsuki/darwin.html

ダーウィンセミナー世話係
中林 潤 nakabayashi_jun@soken.ac.jp
大槻 久 ohtsuki.h.aa@m.titech.ac.jp

ディジタル人文学の最先端

下記の通り認知科学セミナーを開催します.興味のある方はご参集ください.

題目: Cutting Edge of Digital Humanities (ディジタル人文学の最先端)

講演者: Akihiro Kawase and Akira Kudo (Tokyo Tech.) 河瀬彰宏・工藤彰(東京工業大学)

日時: 2009年4月17日(金) 16:40-18:10

場所: 東京工業大学・大岡山キャンパス・西9号館E棟9階プレゼンテーションルーム

要旨:
We will talk about recent trends and underlying ideas of Digital Humanities (based on 'Tokyo Workshop on Digital Humanities DHW2009'). This talk will contain following topics: classifying language data, encoding and digitizing historical texts, archiving dictionary of Buddhism, etc.(東京ディジタル・ヒューマニティーズ・ワークショップDHW2009ににおいて取り上げられた動向や手法を紹介する.)

認知科学セミナーWeb:
http://www.valdes.titech.ac.jp/~akt/meets.html

入学式・オリエンテーションが行われる

 4月6日、東京工業大学の入学式がありました。価値システム専攻でも、6日~8日に恒例の新入生向けガイダンス、オリエンテーション、そして歓迎会が行われました。専攻のホームページの写真はその模様です(撮影:金子宏直准教授)。

・価値システム専攻ホームページ

第87回ゲーム理論セミナー(4月24日)

第87回(2009年度第1回)ゲーム理論セミナーを以下のとおり開催いたしますので,ご案内申し上げます.

日時: 2009年4月24日(金) 17:00‐18:30

場所: 東京工業大学大岡山キャンパス西9号館6階607号室
http://www.titech.ac.jp/about/campus/index.html
のキャンパスマップをご覧ください.西9号館は大岡山西地区にあります.

報告者: Jeff Kline 氏(Department of Economics, Bond University)

タイトル: Transpersonal Understanding through Social Roles, and Emergence of Cooperation
 
アブストラクト:
Inductive game theory has been developed to explore the origin/emergence of beliefs/knowledge of a person from his accumulated experiences of a game situation. So far, the theory has been restricted to a person's view of the structure not including another person's thoughts. In this paper, we explore the origin/emergence of one's view of the other's beliefs/knowledge about the game situation. We restrict our exploration to a 2-role (strategic) game, which has been recurrently played by two persons with switching the roles of positions (players). By switching roles, each person accumulates experiences of both roles and these experiences become the source of a person's (transpersonal) view about the other person's view. We will show that as the degree of reciprocity increases, cooperation will emerge.


問い合わせ先: 

武藤滋夫(東京工業大学大学院社会理工学研究科社会工学専攻) 
  Tel: 03-5734-3622 E-mail: muto@soc.titech.ac.jp
渡辺隆裕(首都大学東京都市教養学部経営学系)
  Tel: 0426-77-1139  E-mail: forward0@nabenavi.net
大和毅彦(東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻)
  Tel: 03-5734-2677 E-mail: yamato@valdes.titech.ac.jp

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