『物語論/破局論』

 物語はこの現実から出発しながらこの現実を隠蔽しようとする。だが、現実は必ず不意打ちとして物語を襲う。そのとき物語は必ず壊れる。壊れない物語などただの自閉的な夢にすぎない。「破局」とはその「壊れ」の一瞬を指す言葉。「破局」において言葉はどう振る舞うか、そのとき言葉を書く人間のモラルが、ほんとうの意味で問われる。

 第一回三島由紀夫賞候補にノミネートされた。ちなみに受賞したのは高橋源一郎の『優雅で感傷的な日本野球』。

 著者がぜひとも読んでほしい論文は「物語が壊れるとき小林秀雄と坂口安吾」

 思いがけず齋藤孝氏がHPの「おすすめブックリスト」に入れてくれている。書名が『物語/破局論』、出版社名が評論社とまちがっていますが、「すばらしい文芸批評」というコメント。また、比較的あっさり書いた村上春樹論「伝達という出来事」が好評なのも、著者としては意外。

 二十年前の本だが、いまでも書店で注文すれば購入できます。